トレードの世界に「奇跡の一撃」は存在しない。

一夜にして億を築いた者の話に人は惹かれるが、そのほとんどは偶然か、あるいは誇張にすぎない。

真の億トレーダーを作り上げるのは、地味で退屈な積み重ね――複利の力である。

 

複利は雪だるま。

転がし続けた者だけが億を築く。

 

■ 複利の本質

 

複利とは、得た利益を再び投資に回し、利益の上に利益を積み重ねる仕組みだ。

アインシュタインはこれを「人類最大の発明」と呼んだ。

単利では直線的にしか増えない資金が、複利では時間と共に指数関数的に膨らんでいく。

• 単利の成長：1歩ずつの前進

• 複利の成長：雪だるまを転がすように加速度がつく

 

時間を味方につける者にだけ、この「指数の魔法」は訪れる。

 

■ 複利を壊す三つの罠

• 大損の一撃

　資金を大きく失えば、雪だるまは粉々に砕け散る。

• 欲望によるロット膨張

　成長スピードを焦り、ロットを跳ね上げて自爆する。

• 利益の浪費

　複利で増やすべき利益を生活費や贅沢に使い、成長が止まる。

 

複利は「守り」と「継続」を欠いた瞬間に消える。

 

■ プロは複利を「刃」ではなく「道」として使う

 

プロは複利を一撃必殺の刃としては扱わない。

• 1％の利益でも積み上げる

• 無理に増やさず、時間の力を信じる

• 相場に居続けることを最優先にする

 

複利とは「勝負の一回」ではなく「道のり全体」を豊かにするものだ。

 

■ 複利三原則

 

１．生存を最優先に

　複利は「退場しない者」だけに与えられる報酬。

 

２．小さな利益を軽視するな

　1％を繰り返せば、数年後には桁違いの結果になる。

 

３．資金を分ける

　生活資金と投資資金を絶対に混同せず、純粋に転がし続ける。

 

■ 実例：月利3％でも億に届く

 

仮に100万円を元手に、月利3％を複利で回したとしよう。

• 1年後：約143万円

• 5年後：約460万円

• 10年後：約2,100万円

• 15年後：約9,500万円

 

「派手ではないが、破滅せずに継続する」ことが、最終的に最大の果実をもたらす。

 

■ 最後に

 

相場は奇跡の一撃を夢見る者を食い尽くす。

だが、地味にコツコツ転がし続ける者を、最後に億という景色へと導く。

 

複利は雪だるま。

転がす者だけが億を築く。

 

この真理を信じ、退場せずに歩み続ける者こそ、真の勝者となる。